アトロピン点眼は、古くから小児の近視進行抑制に有効であることが知られていましたが、副作用(散瞳、調節麻痺、使用中断後の急速な近視進行)の問題から現実的に臨床での使用が難しいと考えられていました。しかし1%アトロピン点眼を100倍に薄めた低濃度(0.01%)点眼とすることで、屈折値で約60%の近視進行抑制効果を維持しながらも、同時に副作用の問題がほぼ解消され、一躍脚光をあびるようになりました。
日本の7大学によって行われた「近視学童における0.01%アトロピン点眼剤の近視進行抑制効果に関する研究(ATOM-J Study)」によると、0.01%アトロピン点眼はプラセボと比べて、2年間にわたって学童の近視の進行を有意に抑制することがわかりました。
【ATOM-J Study】多施設共同の無作為化二重盲検プラセボ対象並行群間比較試験
対象は6~12歳の学童で0.01%アトロピン点眼液を1日1回点眼する群(84人)と、プラセボを1日1回点眼するコントロール群(84人)に分けて、24カ月後の屈折値変化を比較しました。
その結果、屈折値変化はそれぞれ-1.26D、-1.48Dで、両群間には有意差(P<0.001)を認めました。
また、現在ではより強い抑制効果が期待できるマイオピン0.025%点眼液が処方可能になっています。
【治療に関しての注意点】
1.この治療は保険適用外です。健康保険や医療費助成金制度は適応されません。
2.処方の際は最低2年間使用を継続することをおすすめします。 毎日1日1回(夜寝る前)点眼
【費用】
『マイオピン0.01%』 3,300円×3本(3か月分)9,900(税込み)
『マイオピン0.025%』 4,040円×3本(3か月分)12,120(税込み)